第3回 大連・長春(2004年4月7日〜4月10日)

2004年4月7日(水)

早朝8時に関空に集合である。今回のツアーに面識のない方が6名おられ、JTBの受付カウンターで他の団体旅行と錯綜しつつお待ちする。このツアーの参加者は面 識がなくてもすぐわかる。他の団体は純然たる観光旅行で服装、雰囲気が全然違い、我々のツアーはスーツにネクタイ、あくまで仕事なのだ。全日空947便は乗客が約60%で、2年前の上海視察時の満席と比べれば少ないと言う印象だが、SARSも鳥インフルエンザも影響はないと思うが、心理的に響いているのか。機内で中国入国関係の書類を書くが、健康チェック用紙の書き方が毎回違うようで、書き方も良くわからない。2時間20分のフライトで定刻に大連国際空港に到着。東北財経大学印刷場の楊社長達と当社馮君のお出迎えを受ける。 馮君は事前準備のために4日前に訪中していて、準備万端と言いたいところだが、もう計画変更が入っている。中国と日本との時差がマイナス1時間。7日は1時間多い勘定で25時間使うことが出来る。特に初日の予定は盛りだくさんで、この1時間は助かる。出迎えていただいた東北財経大学印刷場、楊社長の会社からスタート。玄関前には「滋賀県印刷工業組合 大連長春印刷事情視察団を熱烈歓迎します」の横断幕。

これの前で全員の集合写真を撮るが、会社は大学キャンパス内にあるため、学生が好奇のまなざしで前を通 っていく。事務所会議室で東北財経大学印刷場の概要説明及び今回のツアーに関する説明を簡単に説明し、工場見学。従業員60名ほどの大学が経営している国営企業で、現在リストラ中と言うことで以前の半分の陣容になったそうであるが、まだ人は多い感はあり製本の機械化によってまだまだ人員削減は可能なような気がする。国営企業の不良債権問題を解決していくためには必ず人員削減が付きまとうため能力のない社員は淘汰されるしかないのだが、国営企業はそう簡単に人員整理が出来ない制度もあるようで、日本の労働基準法、労働組合と言う制度の中で守られている現状と良く似ているように感じる。

中国産「北人」の菊全両面機、2色機、ローランド菊半4色機、製本設備を持ち、工場内は整理整頓が行き届き、ゴミも落ちていることなく綺麗な工場である。仕事先は殆ど東北財形大学関係からのもので、日本企業との関係は奈良に本社を持つ会社のコーヒーフィルター、ぽち袋等の商品を製造。

次に東北財経大学敷地内にある東北財経大学出版社を訪問する。従業員350人規模でマーケティング、販売企画、編集、製版、書店を有する企業であり、経済博士方紅星社長(32歳)に中国の出版界の現状を講演して戴いた。中国に於ける印刷業会2002年統計では印刷会社は8万2000社・300万人が従事しており生産高1450億元となっている。まだまだ中国の印刷会社はモノクロ印刷に代表される低品質な印刷物を供給する会社が殆どで、高度経済成長を続ける中国市場が求める高品質な印刷物を提供出来る印刷会社は少なく、その設備、ノウハウを持った印刷会社は需要に追いつけない現状である。中国で出版の印刷を行うためには出版印刷を行うためのライセンスが必要で、日本企業が独資の形態で取得することは不可能な情況にある。出版のライセンスを持った印刷会社と契約し、フィルム及びPS判と紙を支給する材料支給が一般 的である。出版会社は自社にDTP設備を持つか子会社でDTP行程を処理し、印刷会社にDTP部門を任せることは殆どない。これも中国の特殊性がからんでいる。中国の出版物には全て検閲制度があり、出版社の中には検閲委員会という学識経験者、共産党書記、編集者からなるチェック機関を通 ったモノでない限り出版出来ないそうだ。その仕組み故、印刷会社がDTP部門を請け負うことは体制的に難しいようにも思うし、今後出版系の印刷会社がCTPに移行することも難しいのではないかと思われる。中国では出版社が先にCTPを持つような事になるのではないか。現在の殆どの出版物は多くて2色であり、今後は4色カラー化がすすむであろう。出版社は一般 及び個人で会社設立は出来ない。その為に560社しかなく全て国営企業である。出版社も現在改革を行っているが、中央政府はいくつかの出版社をグループ化していくようである。出版取次は解放されているようだが出版社の基幹部分は今後も解放されることはない。

大連の印刷会社は沢山あるが、出版のライセンスを持っている会社は20~30社であり、その殆どが低品質の印刷物しか提供出来ない会社である。大連であふれて印刷出来ない高品質の仕事は北京・上海・深セン・香港に発注されており、日本の高品質印刷技術を持った印刷会社の進出は歓迎するところである。

この様な趣旨の講演内容であった。

引き続き北京北大方正電子有限公司電子出版事業部 都興剛さんよりリップサーバーについての講演を東北財経大学出版社会議室で行う。1988年北京大学が100%出資し、北京大学の研究成果 を産業化するために設立された会社である。現在、中国のデスクトップ・パソコン市場では聯想に次いで第2位 の地位を占めているほか、中国語の印刷製版(DTP)システムでは世界の中国語印刷業界で80%のシェアを持っている。日本にも進出している方正集団は有名だが、2002年になって、中国の大学最高峰「北京大学」が各種分野の企業や研究所と積極的に提携し、商品開発などの共同研究を進めてきている。大学の経営自主権が大幅に認められて以降、大学の産業界の進出は現在、北京大学に限らず、多くの大学でも行われていることであり、大学における研究成果 が直接的に産業の経済効果として反映されるこうした方法が今、中国ではますます奨励される傾向にある。(日本)方正株式会社は1996年設立より、商業印刷システムを始めとして、流通 小売業向け商品データベース、新聞社向け編集・ワークフローシステム、出版社システムなどを開発。パッケージ、ソリューション、そしてこれらのASPなど一貫したサービスを提供。中国のフィルムセッター出力機はアグファ・大日本スクリーン・富士フイルム・クレオ製が殆どであるがリップサーバーは方正電子製が多い。ウインドウズデータ及びマックデーターからの出力が簡単に出来るということだ。そして一番大きな要因は、中国市場にはまず方正のリップサーバーがありきの情況で、他社の出力機メーカーは自社用のリップサーバーを売り込むことより、まず方正電子のリップサーバーとのインターフェイスが出来なければ中国市場にフィルムセッターを売り込めない事情があったようだ。中国の方正代理店がインターフェイス部分の責任を取るようだが、日本の現状だと「他社製品だとトラブルが起こったときは責任が持てません」という脅しのような話を良く聞くが、今後日本の印刷会社がリップサーバーを決める時に各社の情況が違うのだから各社に応じた選択の自由があっても良いような気がする。価格も安く、自由度があるなかで日本の情況しかわからないと、メーカーのいいなりになるしかなく、結局メーカー側に色んな部分をコントロールされてしまう情況は脱皮したいと思うし、それがお客様サービスにもなるのではないかと思う。

実は長春の新華印刷が土壇場でキャンセルになってしまい、方正電子さんの紹介で大連もっとも優れた印刷会社の一つである海大印刷有限公司を訪問する。大連で一番大きな(学生数の多さ)海事大学との半官半民会社で高新開発区に白亜の4階建て工場を有する非常に優れた印刷会社である。従業員180名で市内にDTPセンター、出版部門、パッケージ部門と中国で一番必要な印刷物の行程を完備している。印刷機は三菱菊全・菊半4色機各1台、ローランド700菊全5色機1台、その他菊全1色、2色機、単色両面 機等有り、商業印刷物から出版、パッケージまでこなせる体制である。今大連港にもう一台の三菱菊全4色機が通 関待ちの状態だそうだ。紙器関係もトムソン、UVニスコーター、合紙、トムソンの歯型製造、ショッピングバッグの行程を有し、ますます発展しそうな勢いである。この工場の土地建物、機械の総額が7億円で出来ていると言うことに驚きだ。東京と栃木の会社とDTP部門を合弁予定。

その後市内のDTPセンターを見学し、クレオ製のドラムスキャナ、マックDTP、ウインドウズDTP、簡易校正システムを見学する。市内にDTPセンターを置いているのでお客様の利便性が良く、二組のお客様がマックデザイナーとモニターを見ながらデザインの打ち合わせをおこなっているのが印象的であった。 ここのイメージセッター出力機は大日本スクリーン製であったが、リップサーバーは方正電子の物であった。

ここで本日の視察は6時にて終了。シャングリラ大連にて宿泊。

4月8日(木)

8時00分シャングリラホテルロビーに遅れることなく集合。大連森ビルにオフィスを構える愛科信息技術有限公司を訪問。日本の株式会社アスコン、株式会社トスコと業務提携を結び文字入力、間取り図、画像切り抜き処理等を80名のスタッフでこなしており、ウインドウズマシンであるが全て日本語ソフトを使用し、アドビイラストレーター・フォトショップを使いこなしている。この会社は日本語学校とコンピューター学校をもっており、その両方から優秀な卒業生を受け入れるシステムを持っている。そして徹底したオペレーションを従業員に教育する。その結果 、「ハイレベルに達したものしか、仕事に就けない一貫した体制は教育と人材育成と管理が企業のベースであることを再認識いたしました。」と言うようなことを甲南堂印刷の草山さんはおしゃっておりました。ここにいる限り日本の会社というイメージである。社員評価システムもキチンとしており、同じように仕事をしていても給料格差5倍はあるとのことだ。この辺は中国、日本ではここまでの差を付けることは難しい。日本とのデーターのやり取りはFTPサーバーを使用し、こちらには10メガの光ファイバー専用線を持つ。ちなみに使用料は1700人民元/月である。今後カラーのチラシ製作とか受注出来るような体制づくりを模索されていて、次回行くときにはこの倍くらいの人数になっていそう。

中国大連国際合作(集団)有限公司

国際経済・技術公司の主たる業務は、国際的プロジェクトの請負、労働サービス、海運と漁業、貿易、国内、海外への投資、海外の経済援助に関わる事業、人材派遣等であるが、今後印刷業において安価な労働力の確保をどの様にすればよいかという事を考えここを訪れた。その一つの解決方法として、中国人研研修生制度を利用して、人件費コストを削減する方法がある。現在研修生として入国できる印刷関連職種は印刷工、製本工である。

国際研修部門の総経理、李淑娟さんからお話しを伺った。現在年間9000人の研修生を世界各国に派遣し、その内日本へは3000名だそうで、派遣数の三分の一が日本に来ていることもあって東京にも事務所があり駐在員も3名体制をとっている。派遣職種は水産加工、縫製、金属加工が圧倒的に多く、印刷関連はまだ少数とのことである。アイプリコムの中西社長のところでは製本加工の人材を数十人のなかから面 接と学力試験をされ、3名採用されたようで、昨日の夕食会にも紹介がてら来てもらっていた。20代前半の女性達3名は大連近郊農家の出身で親戚 、家族一同の代表として日本に来るすれていない可愛らしい女性達である。

彼女たちが日本で3年間製本技術を学びお金を貯めて無事帰国して日本に行っていたことを誇りとして欲しいと思う。研修生制度の基本的なことの説明を頂き、別 の大連郊外にある日本語研修所に移動する。研修に専念出来るようわざと大連郊外に5階建てのビルを借りていて、その3フロアを使用している。内訳は12教室、女子寮、男子寮である。日本語研修は全寮制で3ヶ月間あり、その期間は軍隊並みのスパルタ教育である。クラスごとに生徒の自己紹介をしていただいたが、凄く日本語が上手い。女子寮を見せていただいたが、布団の畳み方から物の整理整頓までキチンとできていて驚かされる。場所の移動も整列して行軍であった。日本にきている縫製業の研修生が住んでいる寮を見せてもらったことがあるが、ここの寮より劣悪だったところもあり、この様な体験をしていれば何とか乗り切れるのではないかと思う。やまとカーボン社滝本社長が「日本人も良い人だけでなく悪い人が一杯いるから気を付けて頑張りなさい」と中国人に負けないくらいにでっかい声で訓辞をされ、大拍手で送り出されて研修センターを後にした。顔から想像出来ないほど優しい社長さんである。研修生制度を利用するにしても、大連国際から直接日本受け入れることは出来ず、日本側のいずれかの受け入れ機関を通 す必要があり、アイプリコムさんでは橿原商工会議所である。計算してみたのだが日本に3000名派遣をしていると言うことは、日本企業は派遣されている人ひとりあたり2万円を毎月大連国際に支払っている、と言うことは毎月日本から6千万円送金されているわけで、凄いシステムである。人材派遣と言うと蛇頭と言う言葉がつきまとうのだが、こちらは合法である。ここの対応はすべて、女性達であったが可愛いパンダの瞳は鋭くて怖いように、ここの女性達の瞳も外見から想像出来ないほど鋭かった。人を商売の材料とするのは、普通 の人には出来ないというか、覚悟が必要である。

昼食は国際研修部門の総経理、李淑娟さんのご招待を受け、長春行きの飛行機の時間が迫っていることもあって早々に切り上げた。国内線は出発ゲートから飛行機まで歩いていき、タラップで飛行機に搭乗する。飛行機に乗るぞと言う感が私は好きであるが、その内蛇腹の中を通 って機内に入るようになってしまうのだと思うとさみしい気がする。機内は満席で一番後ろの座席の皆様は1時間の飛行時間とはいえ「窓がない」「エンジンの騒音」「トイレが臭い」の三重苦で申し訳ありませんでした。

長春シャングリラに早めのチェックインをする。ホテルの前にあるスーパーマーケットのウォルマートは中流の中国生活必需品を観ることが出来る。そによって中国中産階級のライフスタイルを生で知ることが出来たのではと思う。ウォルマートの前では「映画のまち」らしくロケが行われ、その辺を歩いている女性とは少々違う女優が演技をしていた。中国映画を馬鹿にしてはいけない。8元のDVDを良く買って見ているのだが、言葉が分からずとも結構楽しい。お土産にも良いと思う。

夕食は別のホテルにて中華料理だが皆さんの口に合わないらしく殆どハシが進まないが、その分やけのやんぱちぎみでアルコールはビール、白酒、紹興酒と進み盛り上がり、メンバー間の交流もスムーズに出来てきたようだ。

4月9日(金)

昨日と同じ8時00分シャングリラホテルロビー集合。本来ならば国営印刷工場の長春新華印刷工場へ視察予定だったが、先方よりどういう訳かキャンセルになってしまい、今まで一度もなかった観光をする事になる。「偽皇宮陳列館」は前から個人的に一度見学してみたいと思っていたところなのだが、ラストエンペラー溥儀の生活及び執務の場として使われていた建物を急遽見学先に変更する。「長春は満州国の首都であり新京と呼ばれていた。」私の知る事実はこれだけだ。溥儀と関東軍の歴史を中国側からの認識で説明を受けるが、平日の朝一番なのに多数の中国人見学者のいることに驚くし、中国人側からみた思いはどの様なものなのかと思う。日本の歴史教育では明治以降の近代史は習うことがなく、何かと自虐的な話を耳にする。アメリカを訪問していたときには何も感じなかった想いが、ここ中国長春に関しては過去の歴史が微妙に付きまとう。事実の積み重ねが歴史というものであれば問題ないが、そうでもなさそうなので自分の体験を通 したもので判断していけばよいと常々自分に言い聞かせている。長春のガイドである李女史は「日本に留学する時、私の両親から日本との戦争の話を聞かされていますが、日本との戦争は一部の軍人、役人、幹部の利益のために引き起こされたものであり、犠牲者は両国とも一般 人であるから、普通の日本人に対して悪い感情を持ってはいけない。」と教育されたそうだ。バスの中はこの時大きな拍手が起こったので良かったけど又、心の中に重いものが残ってしまった。上海ではこの様な感情はおそらくあまりなく、ここ長春だからこそある日中間の微妙なところであり、今後この地で仕事をしていく上で常に付きまとうものである。過去のことはどうすることも出来ないが、今の私に出来ることと言えば中国に於いて如何に印刷、デザイン文化向上のお役にたてるかでしかない。普通 の感情で行き来出来るのは何世代後なのであろうか、それともこのままか。

10時30分に東北師範大学出版社を見学する。東北三省の中でも発行する出版物が年間3000冊と多く、印刷会社に対する要望は大連の東北財形出版社と同じく高度の印刷物を供給出来る印刷会社の進出を望む声があり、印刷のライセンスを取れれば仕事量 は確保出来る。しかし、仕事があっても中国のビジネスの場合バックマージンが常に付きまとい、その経費の捻出が経理担当者の腕であることは知られているようで知らない事実であろう。この東北師範大学出版社の人たちも国家公務員であるが、一応に裕福そうに見える。しかし、国家公務員の給料だけでは裕福な生活は出来ないし、実際彼らは裕福な事から色々なところからの集金システムは存在するものと思われる。何も知らないで安値で仕事をしてしまえば、後でえらい目になることは理解しておかなければならない。中国ビジネスの人脈という難しい一面 である。ただこれだけが人脈だけではないことも事実で、お金の付きまとわない人脈も凄く難しい。

昼食は長春駅近くの旧大和ホテルで食べたが、ここの味付けは旧大和ホテルと言うことで日本人向けではないだろうが、違和感なく皆さんの箸がすすむ。ホントに美味しい。大皿の料理が綺麗になくなったのはここが初めてだ。美味しい料理の笑顔は素晴らしい。 午後からは吉林芸術学院の美術学部を訪問する。昨年12月に完成した新校舎の前に歓迎の幕が吊されていてその前にて記念撮影。最初に会議室にて馮学院長らからの挨拶を受け、学生の作品及び教授の作品を見学する。

午後からはここ芸術学院のみの視察で時間はゆっくりあり、思う存分見ることが出来る。見学後、デザイン関係の学生達との懇談会に移る。200名くらい入れる階段教室に100名くらいは来ていただろうか、そこに視察団が前に陣取る形で始める。一応私がここの客員教授でもあり、これも授業の一貫である。ここでは何故吉林芸術学院の視察を日本の印刷会社が行うのかと言うことと、どの様にすれば日本の印刷会社で仕事が出来るのかと言うことを説明する。その後学生からの質問に答えるという形式で進めるが、中国と日本のデザイン事情の違いであるとか、日本のデザインと印刷の関係など中国の情報量 の少なさから理解出来ていない部分の質問が多かったように思う。日本側からは学生の作品を見て感じていただいたことを、話す機会を持って参加者全員が発言出来良かったと思う。こういう時は結構疲れが出て眠ることも多いのだが、いつ当てられるかという緊張感からと、学生にインパクトある発言をしなくてはいけないと言う意識でもって進めることが出来た。学生にしても日本でデザインの仕事に就ける可能性がこうして出てきたことで、勉強に取り組む意欲も出来るし、学生が日本からの仕事をインターネット経由で出来るシステムを創ることと、留学によって勉強の余暇を利用して日本の印刷会社で研修するシステムを構築していければと思う。来年7月より印刷科が開講予定で、生徒募集も1月より始まる。日本のプリンティングアカデミーのようになることが理想だが、デザインから印刷を考えることが出来るようなカリキュラムがここには必要だ。皆さんの英知をお借りしたい。夕食は中日友好会館の日本食をいただく。馮院長はじめ前院長、交際交流事務局長さんと残念ながら滋賀県立大学に留学生として合格しながら、大阪入官より在留許可が下りなかった、吉さん希さんも参加して楽しい夕食で最後の夜を締めくくる。

4月10日(土)

大連行き8時15分発の南方航空機に乗らなくてはいけないため、シャングリラの朝食時間を1時間早めてもらう事で朝食を済まし長春空港へ。アッという間の視察旅行も今日が最終日だ。視察の予定はないので緊張感はないものの、毎日の強行軍でいささかお疲れの様子。長春空港ののんびりした雰囲気を楽しみつつ、搭乗口から又歩いて飛行機まで乗り込む。行きと同じく満席。片道の航空料金でも一般 会社の従業員一ヶ月分の給料に相当する額なのに利用者がこんなに多いのは、高額所得者の割合が増えている証だ。無事大連空港に着き大連市内の繁華街にて自由行動。土曜日とも相まって各種イベント有りで、もの凄い人出で圧倒されてしまう。百貨店地下のスーパーにて中国の中の日本商品を探す。グリコのポッキーとか日本と同じデザインで中国で販売されているものが、お土産として面 白いので購入。価格も現地物価にあわせて約半額。同じものなのに半分とは商品以外の価格(物流・広告等)が日本では如何にかかっているのかが良くわかる。最後の食事をレストランで取り、日本に戻るために大連空港に向かう。大連空港には私の自宅にホームステイしながら滋賀大経済学部大学院研究室に留学する趙宇さんと合流し、日本へ出発。関西空港に無事帰国し、自由解散となるが、趙宇さんの入国手続きに手間取り皆さんにご挨拶出来ず、永昌堂印刷北村社長に組合を代表してご挨拶をしていただく。趙宇さんも無事入国することが出来滋賀県組は車にて彦根にむけて戻る。22時頃永昌堂印刷北村社長のご自宅前に到着したが、桜の花がはまだ少し残っていたが印象的であった。

今回の旅行全体に関して感じたことだが、大連、長春には上海のような商業印刷物に代表される圧倒的な印刷製本の設備力は無いし、その市場性もまだない。しかし、印刷会社の上海市場参入は競争の激化、印刷製本設備の高度化が進み、進出するなら大きな資本投下が必要ではないか。その点大連、長春のような東北3省には必要最低限の印刷物である教科書を含めた出版物、パッケージ商品関連の紙工関係が多いがその品質に於いては上海、北京、香港、深センに比べものにならない。しかし、出版社をはじめ高度な品質の印刷物に対してのニーズはここにはある。地元の印刷業者もこのギャップを埋めるために日本の資本、技術力を欲しがっている。中国側には失礼なことかもしれないが、日本の印刷会社がシステム変更で遊休設備化した機械でも東北3省ではまだ通 用する。土地の価格も上海に比べればまだまだ安いので、事務所及び工場経費も安い。旧満州という土地柄日本語の理解力もあり、日本語が出来ると言うことが給料のアップ要因となりにくい。電力事情がひっ迫していない。大連には日系進出企業が3000社ある。国立芸大デザイン科を卒業してもデザイン関係の仕事に就ける割合が少ない。上海を含め南部の人たちと比べると性格が純朴のような気がする。東北3省は政府の重点振興地域に指定され、規制緩和がすすむ。この様なことが大連、長春を含めた東北3省には言え、今、日本に於ける印刷の現状を考えた時「仕事面 」「人材面」で日本国内だけで考えていては解決出来ない事が、中国を含めることで解決出来る可能性があるのではないか。資本力のあるところは強引に地力で現状打破は可能かもしれないが、資本力のない会社にとってこの大連、長春のような東北3省は魅力的である。

私には中国の印刷、デザイン文化の向上に貢献すると言う大きな目標があります。今回の視察にご参加下さった多くの方々より夢の部分にご賛同をいただけたことに感謝致しますともに、今後も夢を共有していければと思います。現在日本の印刷業で夢を持って仕事をするということは難しいのが現状です。今回の視察旅行が夢を見るきっかけとなり、夢の実現の第一歩となれば幸いです。 今回各視察先には大日本インキ様よりDICカラーガイド3冊セットをお土産としてお渡ししていますが、これに付きましては大日本インキ京都支店様より提供していただきました。お渡ししました訪問先は大変喜んでおられたこともご報告致します。

今回の視察旅行は色々な皆様に支えていただくことで可能になりました。有り難うございました。

今後は、中国で高品質、低単価の印刷物を造るためにはどうすればよいか?のテーマで視察旅行を企画予定です。場所は深セン・東莞開発区。上海、東北3省とも違ったと言うか、国が違うように思われます。時間の流れるスピードがおっそろしくはやい。また、夢がふくらむこと間違いなし。

滋賀県工業組合 理事 田中 由一

参加者の声

明文舎印刷商事株式会社 常務取締役 中村寿志 様

大連・長春とも中国では東北3省地域で南の上海とは違いかなり統制経済的においがするだろうと予想していったもののまったくそういった感じはせずほとんど自由経済。まったく日本とかわらない印象をうけた。もちろん日本よりは貧富の差はあるが・・・・物価は一般 消費商品はかなりやすく(自動販売機のジュースが2元=26円)高額商品(CPや液晶TV等)はさほどかわらない印象。またいった地域は旧満州国で日本の昔の建物(旧関東指令軍や横浜銀行ややまとホテル後など)が点在しており複雑な気分になる。
さて今回いった大連の東北経済大学印刷場、東北経済大学出版所。大連愛科、大連国際合作(人材派遣)吉林経済大学 デザイン科等を見学することができた。
1)東北経済大学がもつ出版所と印刷所
ここは大学がもつ出版所と印刷会社。ローランド菊半裁4色機等があるが非常に手作業が多い(日本の数十年前)しカラーに対してはひじょうにあまい。
中国(地方)ではハイエンド印刷(カラー印刷)の需要と生産がマッチしていない。ここに強いニーズを感じる。とくに印刷は、出版社が前工程を行いその後印刷工場というながれ。言論に自由がない以上出版会社と密接な関係を築くことは非常に大切な要素となる。またその後いった海大印刷は、ここも海大大学の印刷工場として設立し数年前独立をした会社。
田中印刷(彦根)も今ここに会社をおこし東北経済大学印刷場が大学より独立をする際合流する予定
2)大連愛科
ここは、日本のデータ入力。商品画像切抜き、地図作成をする会社。
福山のアスコンと業務提携をおこなっている。すばらしいの一言。
2交代(一人24時間近く働き1日休みの環境)すべて実力主義オペレータが入力しそれを校正係りが校正を行いながらオペレータ点数入力し評価をするシステム。これがあの賃金でできることに中国(しかも地方都市)の実力をみた。
3)中国大連国際合作
ここは、国際貿易をする会社。その中に人材派遣をする部門があり3000人を日本へ派遣。研修生の受け入れかたなど大変いい勉強となった。受け入れ先が決まると校舎にて3ヶ月間日本語の研修をうける、そのかがやいた目に感動を覚える。
4)吉林芸術学院 デザイン学部(設計)
ここのデザインは、ほとんど日本のデザインとなにもかわらない。また環境も大変素晴らしい。ここが中国なのかという感じ。
日本でデザインの仕事につきたい人間もいて非常に楽しみ来年には、ここに印刷学科を設立し田中印刷所(彦根)(田中印刷所社長は、今客員教授)を中心にいろいろとかかわりがでてきる。
今回日本に卒業生を一人きているので一度どの程度のデザインができるかお願いをしてみたいと思う。

株式会社岐阜文芸社 専務取締役 飯尾 賢 様

この度は、4日間という短い間でしたが、社長様はじめ皆様に大変おせわになり感謝しております。
今回の旅行では私自身本当に目からうろこが落ちるほどの収穫がありました。中国を訪れたのも初めてですが、やはり日本で聞く中国の印刷事情だけではなかなか判断できないようなことが、実際に見ることによって理解することができました。貴社の中国ビジネスが人脈によって支えられ、それが大きくなろうとしている様を拝見させていただき、こちらも勇気をいただきました。 社長様が最後の日にバスの中でお話ししてくださった、私たち日本印刷人が中国の印刷界に何が提供・貢献できるか、というお話にはとても感銘を受けました。大連・長春の方の日本に期待する気持ちもよく伝わってきました。
上海、北京は行ったことがなく、あちらの印刷事情はまた違うようですが、今回拝見した大連は今後の発展に期待が持てそうです。今回の視察をきっかけに皆様とお知り合いになれたことで、私も微力ながらお手伝いさせていただくことがあればぜひ、お声をお掛けください。岐阜も競争激化で極端に受注原価が下落しています。その辺りで、中国とのビジネス考えていましたが、それはあくまでマイナスの考えでしかないと前から思っていました。しかし、今回の視察で中国の人材や制度を利用することでもっと前向きなビジネスの方法があることを知りました。当社でもこれから、視察の報告会を開き、実際にどう中国とビジネスを展開していったらいいかを検討していこうと思います。失礼とは思いましたがまずは、メールにてお礼まで・・・。馮さんにも本当にお世話になりました。よろしくお伝えください。旅行の後半体調を崩してしまい、なんとなく、未練が残っていますが、これも経験として次回の訪問時には対策を取っていこうと思います。少しお話しましたが、岐阜の印刷組合でも中国視察の話があるようです。岐阜では、社長様のようにあちらであれほどの人脈を持った方はいらっしゃらないと思います。
弊社の社長も組合の副理事をしておりますので、もしかしたら社長様のお力をお借りすることがあるかもしれませんが、そのときはどうかお知恵をお貸しいただければ幸いです。最後に貴社のご発展と皆様のご健勝をお祈りしております。

青葉印刷株式会社 代表取締役 依藤孝行 様

中国視察旅行では、大変お世話になりありがとうございました。
田中様が長春の大学おいて、なされようとしておられる事は日中の友好においても、また両国の印刷業界の架け橋としても大変意義深いものだと思います。困難なことも多いと思いますががんばって事業を成し遂げられることを祈念いたします。
大阪にお越しの時は、お立ち寄りください。
また、私にできることであればお手伝いいたしますのでお申し出ください。

株式会社大光印刷 総務部付 中村一紀 様

大連・長春でたいへんお世話になりました。大光印刷の中村です。
日曜日は疲れからか一日中ぼーっとすごしてしまいましたが、本日より体調も万全でがんばっております。
中国の感想ですが、田中社長のおっしゃっていたように中国には夢があるなと思いました。閉塞感漂う日本でこの先どうしようかと思っておりましたが、田中社長を見ていますと、やりようによってはいろいろとやれるということがわかり、たいへん励みになりました。これから私も夢を持って経営にあたっていきたいと思います。
弊社への会社訪問も歓迎いたしますので、都合があえばぜひどうぞ。 どうもありがとうございました。ヒョウさんにもよろしくお伝えください。

株式会社やまとカーボン社 代表取締役 滝本正明 様

中国視察団中国へは何度行っても新しい発見が有ります?今回も色々な出会いと感動、やはり息抜きも必要ですね、6月に友人の会社の慰安旅行に大連を進めています、決定したら連絡します。これに懲りずに再来。激情熱烈愛愛

株式会社甲南堂印刷 営業本部副本部長 水落 稔 様
株式会社甲南堂印刷 企画制作部部長  草山正信 様

この度の、大連・長春印刷事情視察旅行では大変お世話になり有り難うございました。つたない感想ですが参考になれば・・・と思います。
当社では、今のところ海外に進出する予定はありませんが、中国での印刷事情やビジネスの難しさやポイントなど貴重な勉強になりました。
「愛科信息技術版下会社」でのDTP部門ではインターネットによる時間の壁のないビジネス事情を見ることが出来ました。コンピューター学校や語学学校を経営し、優秀な卒業生を採用し徹底したオペレーションを従業員に教育する。その結果 、ハイレベルに達したものしか、仕事に就けない一貫した体制は 教育と人材育成と管理が企業のベースであることを再認識いたしました。
当社は昨年創業70周年を迎えまして、体質改善に向けインフラの整備に取り組んでいるところです。その意味で、諸事情は異なりますが「愛科信息技術版下会社」での一貫した体制は参考になりました。また吉林芸術学院の学生の作品はレベルの高いものでした。学生たちの潜在能力は中国のグラフィックデザイン界の大きな力になることでしょう。今後ともお付き合いのほどよろしくお願いいたします。落ち着かれましたら、皆様で会社訪問に是非お越しください。

参加者名簿

青葉印刷株式会社 依藤孝行 代表取締役 大 阪
サン美術印刷株式会社 勝見 茂 専務取締役 大 阪
株式会社松下讃松社印刷所 松下 勝 専務取締役 大 阪
株式会社甲南堂印刷 水落 稔 営業副本部長 神 戸
株式会社甲南堂印刷 草山正信 企画制作主任 神 戸
株式会社旭成社 土谷 創 企画制作室 神 戸
株式会社やまとカーボン社 滝本正明 代表取締役 京 都
株式会社大光印刷 中村一記 総務部付 京 都
株式会社アイプリコム 中西 知 代表取締役 奈 良
西岡総合印刷株式会社 石橋英二 代表取締役 和歌山
新日本印刷株式会社 伊吹睦夫 取締役部長 名古屋
株式会社岐阜文芸社 飯尾 賢 専務取締役 岐 阜
株式会社湯本機械販売 湯本吉二 代表取締役 東 京
株式会社永昌堂印刷 北村昌造 代表取締役 彦根(滋賀)
明文舎印刷商事株式会社 中村寿志 常務取締役 長浜(滋賀)
有限会社田中印刷所 田中由一 代表取締役 彦根(滋賀)
有限会社田中印刷所 池本 進 営業次長 彦根(滋賀)
有限会社田中印刷所 馮 鈞淞 中国事業担当 彦根(滋賀)

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